洗濯機は毎年500グラムものマイクロファイバーを水路へと放出しています。研究者たちは魚のエラにヒントを得た新しいフィルターを開発し、そのマイクロファイバーの99%を捕捉することに成功しました。
文:Anthropocene Team
2025年12月11日
イワシやニシンなどの魚から着想を得て、研究者たちはマイクロプラスチックが水路や海に入り込むのを防ぐ可能性のある新しいフィルターを開発しました。
このフィルターは、魚のエラの構造に基づいた設計となっており、洗濯機の排水中の極小のマイクロプラスチック繊維を過去最高となる99%の割合で捕捉することができます。さらに革新的なデザインのおかげで、従来市場にあるフィルターのように詰まることもありません。ドイツにあるボン大学の研究チームが、この特許出願中のフィルターについて学術誌『 npj Emerging Contaminants 』で報告しています。
現代の衣類はポリエステル、ナイロン、スパンデックスといった合成繊維で作られています。洗濯機で衣類が激しく動かされると、これらの繊維は非常に細かい破片となってはがれ落ちます。研究によれば、合成繊維の衣類一着から1回の洗濯で最大150万本ものマイクロプラスチック繊維が放出される可能性があります。また、4人家族が使う洗濯機は年間で最大500グラムものマイクロプラスチックを排出すると推定されています。
マイクロファイバーが排水へ流れ込むのを防ぐフィルターや革新的な製品は既にいくつか市場に出ています。また現在、開発段階にあるものもあります。日本の研究者たちは、音波を使って洗濯機の水からマイクロプラスチックを取り除く技術も開発しています。
しかし、今回の新しい論文の筆頭著者であるLeandra Hamann氏はプレスリリースで「これまでにあるフィルターシステムには様々な欠点があり、いくつかはすぐに詰まってしまい、他のものは十分なろ過性能を持たない」と指摘しています。
そこでHamann氏ら研究チームは、カタクチイワシやサバ、ニシンなど、泳ぎながら水を濾して餌をとるラム・フィーディングを行う魚のエラに着目し、フィルターの設計に活かしました。この魚たちのエラは、クロスフローろ過のように働く漏斗(じょうご)型の鰓弓システムを持っています。魚は口を開けて泳ぎながら餌を取り入れます。
水が口から喉へと流れる際、細かい歯のような櫛状の構造がプランクトンや餌の粒子を捕らえ、水はエラを通って外へと流れ出ます。餌の粒子は漏斗型のエラの形状のため、魚の喉へと転がって集まり、魚が飲み込むまでそこに溜まる仕組みになっています。
研究者たちはこの仕組みを模して、メッシュの目のサイズや漏斗の角度、開口部を慎重に選んだ円錐状フィルターを作製しました。マイクロファイバーを含む水がこのフィルターを通ると、平らな構造であれば引っかかってしまう繊維が、円錐の奥へと転がっていきます。システムは毎分何度も繊維を集め、それを吸引して回収します。
研究者たちは、洗濯機に小さな改良を加えるだけで、このフィルターがプラスチックから余分な水分を押し出してペレット状に成形できる可能性があると述べています。数十回の洗濯の度にプラスチックの塊を取り出し、適切に処分できるようになるかもしれません。
「水から99%以上のマイクロプラスチックを分離しながら、詰まらないフィルターを可能にする条件の組み合わせを突き止めた」とHamann氏は述べています。
出典:Leandra Hamann et al, A self-cleaning, bio-inspired high retention filter for a major entry path of microplastics, npj Emerging Contaminants, 2025.
画像:Doncoombez on Unsplash














